ピヒト先生

今年も早5月を終えようとしています。前回ブログを書いてからなんと5ヶ月も経ってしまいました。

書いてはいたのですがアップするまでに至らず、時がたてばもう載せる気もなくなり没になったものがいくつかあります。コロナの自粛生活で、出かけて何かを見たり聴いたりすることのほとんどない毎日が続いて、思考や発想が鈍化しているかもしれません。

部屋の片付けも滞り、積み上げられた冊子の山をやっとパラパラとめくっていたところ、ピアノ教育連盟の会報の中に会報アーカイブとしてエディト・ピヒト=アクセンフェルト先生の「現代の子どものためのピアノ教育論」というインタビュー記事を見つけました。1987年に来日されたときのインタビューです。

私が1988年から91年までドイツに留学していたとき、ピヒト先生はすでにフライブルク音大の職を退かれていましたが、プライベートのレッスンはされていて、私は毎月のように先生の住んでおられたシュヴァルツヴァルト(黒い森)に位置するヒンターツァルテンに向かいレッスンを受けました。

この冊子のインタビュー記事を読みながら、かつて先生が語る音楽的な響きのある言葉が懐かしく思い出されました。先生の声が聞こえるような、その語り口が頭の中で蘇りました。音楽を本質から真摯に見つめ、音楽が自然から示唆され生まれるよろこびを常にお話しされていたのです。私は当時、先生の音楽に対する姿勢に大きな感銘を受けたのでした。語れば尽きないほどの楽しく素晴らしい音楽留学の3年間でした。

さてインタビュー記事の中で印象に残ったピヒト先生のお言葉・・・「音楽は強い力をもっていて、音楽の本質は人をとても深いところからつき動かすものなのです。ですから正しい方向で行われれば、音楽は必ず子どもを動かすことができるし、それだけに間違った方向で子どもの”喜び”を失わせてしまうのはとても残念です。」

・・・常にこの言葉を肝に銘じてレッスンをしていきたいと思います。

 

2021年05月28日